鬼滅の刃の主人公・炭治郎の精神世界や
精神のあり方については
さまざまな考察がされています。
中でも著名な、
精神科医の斎藤環の考察を中心に見ていきます。
炭治郎と精神の核。精神科医について
炭治郎の精神世界は、
アニメ無限列車編の第4話で映像化されました。
それは精神の核と
6人の小人がいる以外には何もなく、
青空が地面にも反射して真っ青な世界です。
煉獄杏寿郎の精神世界が、
炎が燃え盛る場所だったのとは対照的です。
炭治郎の精神の核は丸く、
白く光る魂のようなものでした。
炭治郎の精神に関しては、
精神科医の斎藤環が解説している記事があります。
斎藤環は漫画などの分野に詳しい
精神科医として有名で、
本人も鬼滅の刃や
ジョジョの奇妙な冒険のファンと公言しています。
記事の中で、
斎藤環は炭治郎の精神について
以下の様に述べています。
【炭治郎には「想像界」が欠けている。
だから「優しさ」はあるが「共感力」には乏しい。
(中略)
彼が頑固なのは、
正しいことへのこだわりではなく、
「正しいこと」以外の可能性が想像できないからだ
引用元:note
『「鬼滅の刃」の謎 あるいは超越論的炭治郎』】
記事の概要としては、
鬼滅の刃全体に関わることや
作者の作風の解説から始まり、
後半に炭治郎の精神分析があります。
炭治郎が他人に優しく、正義を貫くのは、
単に性格が良いだけではなくて、
正しさ以外の目指すものが
想像できないからということです。
このことを、炭治郎の自覚がないことや、
生得的で変更不可能なことから、
斎藤環は「狂気的」と表現しています。
そうなってしまったのは
少年期に家族を失ったという
つらい出来事のせいもありますが、
本人の資質もあったようです。
その資質はある意味鬼にも
向いていたと考えられます。
炭治郎は一見するといかにも
主人公という性格なので分かりにくいですが、
主人公としては致命的な
精神の危うさみたいな部分も持っていたんですね。
斎藤環は炭治郎の何もない精神世界を見て、
こうしたことを確信したと述べています。
炭治郎と精神世界…どんなもの?
炭治郎の精神世界の特徴を少し紹介しましたが、
よりわかりやすく言うと、
光る6人の小人は
炭治郎の亡くなった家族という点は確実です。
精神世界に魂と
家族以外に何もないということは、
炭治郎の想像力が
欠如していることを表すという見方を
精神科医の斎藤環はしています。
鬼滅の刃では、
主人公の炭治郎がピンチになると
家族の魂(幻)が現れて
励ましていくというシーンがよくあるので、
炭治郎の精神世界に
家族がいるというのは納得できます。
想像力の欠如という点は、
精神世界のあり方だけ見て分かるというより、
他の要素から示唆されることも多いです。
例えば炭治郎は何かを想像して
絵を描くのが壊滅的に下手、嘘を付けない、
他のキャラクターへの共感の仕方がずれている
などの特徴から想定できる内容です。
作者の人がここまで考えて
描写しているなんて驚きですね。
このように炭治郎の優しさや正義感が
本人の意思とは別の、
生まれ持って変えられない
(「狂気的」な)要素だとすると、
鬼滅の刃は単なる鬼退治の物語ではなく、
優しさとは何か、家族愛とは何かという
深い問いかけを投げかけてくる物語になるわけです。
斎藤環は
回りくどくて分かりづらい表現をしがちなので、
記事の意味をしっかり把握するのは大変ですが、
鬼滅の刃をより深く楽しみたいという人は
じっくりと元の記事を読んでみてください。
ちなみに斎藤環は鬼滅の刃のキャラクターの中では
愈史郎のファンだそうで、
愈史郎についても記事の中でいろいろ書いています。
炭治郎の精神世界について
炭治郎の
精神世界について紹介しました。
鬼滅の刃は
精神科医の分析に耐えられるような
深い漫画なんですね。
そう思って読んでみると
新たな捉え方ができて、
より作品を楽しめるかもしれません。
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